研究課題
一般相対性理論のほころびから迫る宇宙の加速膨張、電波望遠鏡で拓く暗黒宇宙
キーワード
宇宙論、重力理論、暗黒エネルギー、暗黒時代、月面天文台
研究の背景
宇宙誕生直後および現在の2つの全く異なる時期に、
という驚くべき結果が最新の宇宙観測から強く示唆されています。
重力が引力だという性質と相容れない事実です。
宇宙論、 素粒子論から天文学にまたがる現代物理学の最重要課題の1つです。
ねらい
宇宙誕生直後に加速膨張期があったとするインフレーション理論は 、直接的な証拠は
未だないものの、複数の傍証が得られており、 実際に起こったものと考えられています。
興味深い事実として、 最新の観測によって最も支持されている模型は、一般相対性理論
を修正した模型である点が挙げられます。これは、 宇宙のごく初期において一般相対性
未だないものの、複数の傍証が得られており、
興味深い事実として、
を修正した模型である点が挙げられます。これは、
理論のほころびが見えている可能性を示唆しています。 現在の宇宙もまた加速膨張して
いることが様々な観測から強く支持されています。 この観測事実を説明するには、
「暗黒エネルギー」と呼ばれる「宇宙を加速させる何か」 が必要となりますが、その
正体は全く不明です。 暗黒エネルギーの正体を示す証拠は宇宙論的な距離での観測から
得られていますが、 そのようなスケールでの一般相対性理論の検証は不十分です。
すなわち、 現在の宇宙の加速膨張も一般相対性理論のほころびの重要なヒント だと
考えられます。
目標と戦略
重力波・重力レンズ現象・ 宇宙大規模構造などの多様な宇宙論的な観測量における
相互相関まで含めた理論予言を行い、 どのような理論模型が観測的に許容されるのか、
背後にどんな未知の物理法則が存在するのかを明らかにします。 また、宇宙の大きな謎に
迫るためには、本質的に新しい観測量の探求が必須になります。 特に、宇宙の最初期の
情報が保存されている人類未踏の「暗黒時代」「宇宙の夜明け」 の観測が鍵になると
考えられます。 人類未踏の時代を探査できる2つの電波望遠鏡計画Square Kilometre
Array(SKA)天文台と月面天文台を推進することで、 詳細な宇宙の進化の情報の獲得を
目指します。これらを組み合わせることで、宇宙の最大の謎、 すなわち、宇宙加速膨張
の謎に迫っていきます。
更新日: 2023/05/24