日本列島に飛来する
黄砂の起源と環境変遷史

 

 

 例年春先に、中国大陸から黄砂が飛来します。この黄砂が中国大陸のどこから飛来してくるのか、またその時間的変動を、黄砂中の石英のESR(電子スピン共鳴)信号から推定することができます。
 これには、石英(SiO2)中の酸素空孔に関連したESR信号が、年代と相関のあることを利用します。花崗岩中の石英の中のこの信号強度は、数千万年から10億年の範囲で、年代が古いほど信号強度が大きくなります。その生成過程には議論がありますが、自然放射線の作用によることはまちがいありません。つまり、黄砂の石英の中のESR信号を調べることによって、古い年代の基盤岩が風化した地域から飛来したのか、それほど古くはない基盤岩の地域から飛来したかがわかります。

 

地図、その1 1万2千年前から2万4千年前の最終氷期(氷河期)の堆積物中の石英のESR測定から得られた結果です。堆積物中のESR信号強度の分布、および風成塵の給源と考えられる地域の同様の値と比較した結果、日本の南部を除く地域には、北のシベリアから、南部には中国の中部から、台湾方面は中国南部から風成塵が飛来していたことがわかりました。

 

地図、その2 一方、気候が現在と同じと考えられる1万2千年以降の堆積物を調べた結果、日本列島全域にわたって中国中部の黄土高原の堆積物と値が一致していました。このことは、最終氷期から現代にいたる気候変動の過程で、モンスーンのシステムが、図のように大きく変化したことを示唆しています。

 


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